OVERDRIVE制作のゲーム「キラ☆キラ」の感想、紹介記事を書きたいと思います。 ※PS2で全年齢版あり、プレイ時間目安:30~35時間
・感動・・・10
・ハマり度・・・8
・キャラ・・・10
・音楽・・・9
・CG、演出・・・8
・総合・・・10
青春ロックバンドの話ということで爽やかな物語を期待して購入したんですが、良い意味で期待を裏切ってくれる作品でした。
僕は上に書いてあるあらすじを読んで、「バンドで青春の旅とか面白そー。」
と思ってこの作品を購入しました。
全ルートプレイしてみての感想ですが、、、確かに、「ロックバンドで青春!」というだけあって、明るくて楽しいです、笑えますし。(序盤はね・・・)
しかし、この作品には、「楽しい」だけではなく、他の作品には中々見られない程、「現実の厳しさ」が生々しさが描かれてもいる。
楽しい物語の中でも、ちょいちょいそうした現実、社会の厳しさというが見えてはいたんですが、後半の個別ルートに入ってからは、、、ほんと、ひたすらに重い。
借金、不倫、勘当、病気、孤独、それぞれのルートでテーマは少し違ってくるんですが、先に挙げた事柄がずしりと、重くのしかかってくるような話です。
本当にシリアスで重いんですが、私はこのゲームの一番の魅力がそこだと思っています。
特にメインヒロインルートはあるシーンはその重々しさに鳥肌が立ちました。
「キラ☆キラは人生」とかいう訳でもありませんが、この作品も、しみじみと時間の流れが感じられることと、話がとても生々しいことからかなり人生を感じられる(それもかなりシビアな)作品。
後で知ったことですが、このゲームのライターである瀬戸口廉也さんは「鬱展開を描く」ことで結構有名なようでした。
重い話なだけに、メッセージ性もとても深い作品でした。
文章は癖がなく、とても読みやすかったですね。
主要キャラ紹介
・前島 鹿之助
ベース担当。バンドにはまったく興味がなかったが状況に絡めとられ参加することに。もともとはテニス部員だったが、ある理由で退部。同時期に彼女にもふられ、失意の日々をすごす。
・椎野 きらり(CV:中村知子)
ボーカル担当。バイト先で偶然鹿之助と出会う。家がひどく貧乏なので、朝と夜のバイトで家にお金を入れている勤労少女。
普段はその苦労をかけらも感じさせない天真爛漫な女の子。いっつもはねている髪と曇りのない笑顔がトレードマーク。
・樫原 紗理奈(CV:小島めぐみ)
ギター担当。実家は歴史ある資産家で、学園にも多大な寄付を行っている。体が弱い上に祖父が厳格なため、学内での交友関係は狭い。
お嬢様らしく、おしとやかな物言いと穏やかな性格。だが芯の強い一面も持っている。
・石動 千絵(CV:瑞沢渓)
ドラム担当で、鹿之助の幼馴染。家庭の事情で留年しているので一つ年上。きらり、紗理奈、鹿之助が所属する『第二文芸部』の部長。
苦労してきたせいか、わりと大人な考え方をするバンドのまとめ役。その分自分を抑えている部分もあり、本当はのんびり屋で臆病。
ストーリーの内容自体ももちろん素晴らしかったのですが、そのストーリーの良さを際立たせていたのが、キャラクターたちの魅力だったと思います。
まず、ヒロインたち、、、ほんッッッッとぉぉぉぉに「いい娘」です。萌えもありますが、注目すべきはその「内面」。
もちろん、完璧超人なんて感じではなく、人間らしい弱さも持ち、迷い、揺れながらもそれ以上ないという程の優しさ、純粋さを魅せてくれるヒロインたちには感服せざるを得ないです。
そして、そんなヒロインたちと比べると、程よくダメな感じの主人公がまたいいんですね。
そのバランスが絶妙ですね。その程よいダメさ(というか弱さかな)には、「わかる、わかるよその気持ち。」とつい画面に向かって話かけてしまう程共感を持てました。
クールを装っているんですが、ほんとは凄く人間臭いところが、主人公の魅力だと思います。
あと、脇役もいい味だしていて、独特な笑いを提供してくれます。
音楽を題材にしている作品だけあって、良いです。特にBGMがかっこ良いのと、各場面における選曲が合っていて、そのシーンの雰囲気を際立たせていました。
ライブ場面からの歌に入るところもライブの昂揚感が伝わってくるようで良かったです。
絵は割と古い感じですが、あまり気にならない、というか僕は好きですね。文章もそうでしたが、癖が無くて見やすい感じの所が。こんな感じ↓
演出については、上にも書きましたが、ライブシーンで歌を入れる演出と、上げるところでは上げて、重いシーンではCGと合わせて、その重さが際立つような音楽の入れ方が上手いと思いました。
軽い気持ちで購入してプレイしたゲームでしたが、想像以上、予想外の感動があり、楽しさとシリアスを兼ね持つ、非常に素晴らしい作品でした。
以下の要素を求める人には特におすすめしたい作品。
・感動
・鬱
・キャラが魅力的
・メッセージ性が強い
OP↑
以下の記事は私が物語を通して考えたことです。(ネタバレは極力無し)興味がある方は是非読んでみて下さい。
このゲームを通して「現実、社会の厳しさ。」というのをとてもよく感じたのですが、特に最後の方でヒロインの子の一人が言った言葉なんですが、
「世の中って、むつかしいね。」
という言葉があります。(ちなみに「難しい」じゃないのはゲームの表記がそうだったからで特に意味はないです)
その子が何故そういうことを言ったのかというと、
「自分の周りには、本当は真面目で優しい人ばかりなのに、世の中の悲しいことや辛いことに振り回されて、可哀そうな人ばかりだ。」
と思ったから。
本当は優しい人なのに、悲しいことが辛いことがあるせいで、人を傷つけるようなことを言ったり、したりしてしまう。
そんなことはきっとどこでも、いつでもありふれたことだと思います。
そして、そのことが新しい悲しみとか辛さになって、また違う人を傷つけたりしてしまう、そんなことは本当にどこでも、いつでもあることだと思います。
しかし、上で話したこのヒロインは悲しいこと、辛いことにあっても、恨むこともなく
「そんな可哀そうな人たちを、元気にしてあげたい。」
と心から思っています。
悲しいから、辛いからといって、他の誰かに当たって、その悲しみ、辛さを広げてしまうのも人間ですが、悲しくて、辛くても、誰かを思い遣ることが出来るのも人間なのだと、この作品を通して改めて強く実感しました。
少しでも、そんな人間に近づけたらなと思います。
コメント
自分も瀬戸口作品における、現実が冷たく突き放してくる感じがたまらなく好きです。最後のシーンできらりがメジャーデビューして歌うことを義務という表現で決意した時ホントにすごいシナリオだって感じました。
他の瀬戸口作品2つも一貫したスタイルを持っているのでオススメです。
コメントありがとうございます!
僕もそのシーン印象に残ってます。きらりほんとすげえ子だなって思いましたね。
carnivalとswansongですよね。どちらもプレイ予定の作品ですが、特にswansongは鬱で有名ですね。鬱ゲーに耐える元気出てきたらやろうと思ってます。