AUGUST制作のゲーム「千の刃濤、桃花染の皇姫」の感想を書きたいと思います。 ※プレイ時間目安:25~30時間
・感動・・・8
・ハマり度・・・10
・キャラ・・・10
・音楽・・・9
・CG、演出・・・10+
・総合・・・10
序盤の共通ルートは緊迫感もあり、伏線もいろいろ貼られていて、とても面白かったですが。。。が、基本的に一本道で、その途中で、各ヒロインルートへ枝分かれしていくというのは、ユースティアの時と同じで、これ自体は良いんですが、噂には聞いていましたが、各ヒロインルートはお世辞にも良いとは言えない適当さでした。
なんか主人公がヒロインを好きになるのもいきなりな気がしますし、「とりあえず個別ルートだから両想いにさせとこう。」的な感じでした。
そして、無事両想いになったら「これからも一緒にいようね。」みたいな如何にもこれで終わりですみたいなシーンになって、「その後、なんだかんだで全部上手いこと運びました。ちゃんちゃん。」でエンド。
個別ルート入ってからは30分もプレイしてない気もします。こんな「一応、個別ヒロインルートつけときました。」って感じの適当さなら完全に一本道でも良かった気がしますね。
ユースティアの方は、一番面白かったのはメインのティアルートなのは間違いないですが、個別ルートにしても、こんなに目に余るほど酷くなくて、納得のいく範囲だったと思います。
ちょっと今回の個別ヒロインルートはユースティアのシナリオを書いた方々の「よし!これでいこう!」って言える程のものだったとは考えられません。こんなんで出すなら延期でもしてくれた方が全然良かったと思います。
愚痴りましたが、やはり「夜明け前より瑠璃色な」やユースティアという過去に非常にレベルの高い作品を出してきたブランドなので、期待が大きかったぶん余計に残念でしたね。
また、これも他の方も感じたようですが、ユースティアのようなシリアスあり、大図書館のようなラブコメあり、みたいなにしたいのはなんとなく感じられたんですが、ラブコメの入るタイミングが少々強引というか「え、ここで?」って感じで違和感ありました。
まあ、考えてみるとシリアスとラブコメの共存って難しいのかなとも思います。それが上手く言ってるのですぐに思いつくのはグリザイアシリーズですね。グリザイアはもう共通はギャグ。個別はシリアスって感じでくっきり分かれてました。ダメな悪い例は、なぜかフロントウイングさんの「果つることなき未来ヨリ」ですね。この作品はルートによってバラバラで一概に言えない所もありますが、酷い所はギャグシーンみたいになったと思いきやいきなりキャラが死んでシリアス(にしたいのか)?という訳が分からない感じでしたね。
本作の場合はそこまで酷いものではなく、「ん?」って感じでちょっと違和感を感じるくらいなんですが、なんか改めてシリアスとラブコメの両立って難しんだろうなって思いました。
メインの朱璃ルートは良かったです。たぶんそうなるだろうなとは予想してましたが、ユースティアのようなハッピーエンドとは何とも言えないけど、印象的で哀愁漂うエンドではなく、お得意の大団円とも言える終わり方でした。
主要キャラ紹介
・宮国 朱璃(CV:遥そら)
先代皇帝の一人娘であり、最後に残された正統なる帝位継承者。敗戦時の混乱のなか、皇帝であった母親を亡くすも辛うじて敵国の手から逃れた。
その陰には、主人公・宗仁の獅子奮迅の働きがあったと言われている。
戦後は身を守るため正体を隠し、王家を再興すべく臥薪嘗胆の日々を送ってきた。宗仁が通う学園に転校してきたことにも、何か目的がある様子。
・鴇田 奏海(CV:猫村ゆき)
戦後すぐに即位した皇国の皇帝・通称 “翡翠帝” 。国民に絶大な人気を誇り、可憐な姿と涼やかな声は敗戦で傷心する民を癒やしてきた。
先代皇帝の娘とされているが、正体は宗仁の義妹であり、王家と血の繋がりはない。その素性は最高機密とされ、兄妹ともに互いが生存していることすら知らない。
・椎葉 古杜音(CV:小鳥居夕花)
二千年前から王家に仕えてきた巫女一族の末裔。幼少の頃から厳しい修行を積み、現在は与えられたお役目に身を捧げている。
普段の様子を見るに、誰か探している人物がいるらしい。明るく奔放な性格でポジティブ思考。 いつも周囲を明るくする。
・稲生 滸(CV:波奈束風景)
代々続く武人の家の生まれ。宗仁とは幼なじみで、同じ剣術道場で共に汗を流していた。
戦争では明義隊の隊長として奮闘するものの、部隊は壊滅。奇跡的に一命は取り留めたが、多くの仲間を失ってしまった。
現在は武人階級をまとめ上げ、母国の独立のために活動しており、最近は組織の活動費を補うために秘密のアルバイトをしているらしい。
・エルザ・ヴァレンタイン(CV:奏雨)
学院の生徒会長を務めると同時に、共和国政府のスタッフとしても働く少女。敵国のトップの娘であることは広く知られ、その言動はいつも注目の的。
皇帝や武人といった特権的身分制度を解体し、平等な世界を作ろうと考えている。人柄は穏やかで誰からも慕われる温和な雰囲気を纏っているが、
皇国人に対しては異国の言葉でキツい発言をしてしまうことも。
・鴇田 宗仁(CV:春野風)
主人公。先の戦争において、家族だけでなく過去の記憶まで失った武人。戦後は稲生家で世話になっていたが、現在は一人暮らし。町の花屋『糀谷生花店』で働いている。
性格は武人らしく、冗談の一つも言えないくらい実直そのもの。
ただ最近は花屋の仕事のお陰か、肩の力が抜けてきたともっぱらの評判。
シナリオについては、結構な不満を垂らしましたが、キャラは流石に魅力的でした。
主人公は最強系ですね。普通に強いんですが、そのうえ謎の再生能力つき。(これについては後々明らかにされます。)しかも、冷静で頭も良いハイスペックな主人公です。性格もまさに↑で書いたまんまで、精神的にも揺るがない強さがあります。
メインヒロインの朱璃は弱さを見せるところもありながら、姫としての言動、振る舞いが凛々しくてかっこよい所は「夜明け前より瑠璃色な」のフィーナを彷彿とさせました。
また、エルザは敵陣営でありながら、信念を持ちながら、頭もキレて、相手との駆け引きで上手い事情報を引き出したり、自分の思うように物事を持っていく様は見事で読んでて面白かったし、かっこよかったですね。
奏海は兄と再会してからのお義兄様至上主義が凄くて、それが顕著に発揮される事はありませんでしたが、ちょっとヤンデレの素質を感じさせられましたね。
古杜音は、ギャグ担当という位置づけなのかはよくわかりませんが、よく分からない所でふざけた言動をする上、別に面白くないので「?」って空気になるところが多かったですね。おっぱいでかいのは結構なんですが。
滸は可愛いし強いんですけど、性格的には影が薄いというか、あんまし印象に残らなかったですね。基本的に、主人公の女の子バージョンみたいな感じでした。
最後に、ラスボスと若干1名脇役ですが、表も裏もない徹底したゲス野郎という、割とAUGUSTでこういう表も裏もないただのクズなキャラって珍しい、というか始めて見た気がしますが、すがすがしい程に存在自体がクズなので割と面白かったです。(多分、中盤くらいから「なんかこいつ臭いな・・・」ってある程度わかっちゃうと思いますが、クズっぷりは終盤になるほど発揮されていきます。)
CGの美しさと演出の凝り方は流石のAUGUST。素晴らしいです。現状、業界NO.1と言っていいんじゃないでしょうか。
背景は思わずスクショを撮りたくなってしまう程にお見事。キャラの可愛さ、BGM、OP、EDの良さも抜群の安定感。文句なしのクオリティです。
さらに大図書館でも「おおー、演出進化してんなー!」と驚かされましたが、本作ではさらに進化しており、特にバトルシーンの時の演出は非常に見物です。
↑これは一例ですが、こんな感じの演出が多々あり、バリエーションも豊富です。
しかし、ここまでいっても、私の中での演出NO.1の作品は「魔法使いの夜」なのですが、これ以上に進化することがあれば、それを塗り替える事もあるかもしれません。
というか、それが出来るエロゲブランドはAUGUSTしかないかもしれませんね。次作も大いに期待してます。
大好きなブランドですので文句も一杯言いましたが、共通とメインのシナリオはとても良かったですし、キャラの可愛さ、背景、音楽、演出などは流石と言わざるを得ないクオリティで、特に演出面の進化は素晴らしいの一言でした。
まとめとしては、文句を言いたくなる所はあるけども、それを踏まえてもプレイしてよかった迷いなく言える作品でした。まだの人は是非プレイしてみてください。
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