高屋敷開発制作のゲーム「加奈…おかえり!!」の感想を書きたいと思います。 ※プレイ時間目安:10~15時間
・感動・・・10
・ハマり度・・・8
・キャラ・・・9
・音楽・・・8
・CG、演出・・・8
・総合・・・9
話の流れとしては↑のあらすじの通りで、病弱な妹と、そんな妹を大切に守り続ける兄妹の物語です。話の展開にはこれといった捻りもないのですが、病弱な妹を想う兄の気持ちや親の気持ちなどを丁寧に描いるので純粋に感動出来るものになっていました。
そして、予想はしてましたが、明確なメッセージ性を持った作品です。一つ目は、「たった一人の大切な妹として」見続けてきたはずの兄の気持ちの変化などは、社会的にはタブーとされている「近親相姦」というテーマについて。そして、もう一つは、他の作品ですが、「ナルキッソス」のように「死」についてです。
エンドは全部で6つあるのですが、それぞれ途中からかなり違った形の話になっていて、それぞれとても考えさせられるものがあるエンドでした。
中でも印象に残った加奈の台詞があるのですが、
「人が死を恐がるのは、やり残したことがあるからなんだって。だから、自分のなすべきことを終えた人は、安心して命をまっとうできる。その時、人は死を克服する力を手に入れる。」
「人はなぜ死を恐れるのか?」これを、ずっと病弱で余命幾ばくもない加奈が考えて出した答えです。この問いに対しての加奈の解答が正しいかどうか置いといて、今後、より良い人生を生きようと思わせてくれる言葉でした。
自分の死期が近い事を悟れば、誰だって「嫌だ、死にたくない。」と思うものでしょう。しかし、最期の最期まで「死にたくないッ!」と喚き散らしながら死んでいきたくはないです。少なくとも「まあ、それなりに良い人生だったなぁ。」とか思って死にたい訳です。
加奈の考えでは、なすべき事をすればその境地に至れるという訳です。これは、自分なりに常により良い生を模索している自分には嬉しい発見でした。まあ、「じゃあ、自分のなすべき事って何?」と考えると、「・・・えーと。。。」ってなるんですけどね。
主要キャラ紹介
・藤堂隆道
主人公。対外的には平凡な学生で、友人付き合いも人並み。
家庭では妹想いの兄で、幼い頃に妹の加奈が「壊れ物のように脆い」ことを肌で感じ、以降、彼女を過保護なまでに大切に守り続けている。
・藤堂加奈(CV:小田真ゆみ)
隆道の妹。病弱のため、入院と退院を繰り返す生活を送っている。
いつも守ってくれる兄を頼りにし、また、慕っている。病院生活が長く、友達もいないためか人付き合いは苦手で、一緒の時は兄の背中につい隠れがち。
・鹿島夕美(CV:支倉ミキ)
隆道のかつてのクラスメイト。
かつて隆道は彼女に恋心を抱いていたが、小学校の時の事件をきっかけに、その感情は一変。以来、彼女を憎むようにしている。
なんというか。この作品については個々のキャラについては何を書けばいいのかよくわからないのですが、とにかく基本的に↑の紹介文のような人間である「主人公と加奈の話」です。実際、プレイしてても強烈な個性を発揮させるようなキャラもおらず、シナリオを読むのに邪魔しないというか。
「キャラのための物語がある」のではなく「物語のために必要なキャラがいる」って感じですかね。
BGMはまあそれなりに時代相応な感じでした。OP、ED、挿入歌は雰囲気的に作品に合っていて中々良かったです。
10年以上前の作品なので、CGはそれなりに古臭い感はありますが、あまり癖もない見やすい絵でした。
D.C.シリーズと同じような感じで良い所で良い具合に挿入歌が入る演出は非常に良かったです。感動も倍増でした。
「泣きゲー」として有名な本作ですが、確かに噂通りの作品でした。(泣きませんでしたが)短いながらもしっかりとメッセージ性を持った作品でした。田中ロミオさんの作品のようですが、難解な所はなく「家族計画」よりな作品です。(僕は山田一=田中ロミオ説は未だに疑問なのですが)
「死」について考えたい人、メッセージ性がある作品がやりたい人には非常におすすめの作品です。
OP↑
ちなみに「加奈…おかえり!!」は「加奈 ~いもうと~」のリメイク版です。後、僕はWINDOWS8でおかえりの方のパッケージ版を買ったんですが、エラーでゲームを進める事が出来ず、DL版を再購入するはめになったので、おなじOSの人は注意した方がいいかもしれません。