青い涙 感想、レビュー これほど罪深い「裏切り」がかつてあっただろうか?


CDPA制作のゲーム「青い涙」の感想を書きたいと思います。 ※プレイ時間目安:20~25時間

※シナリオによってばらつきがありまくりですので、この点数は神シナリオである回想編とシエルートの点数になります。

・感動・・・10+

・ハマり度・・・10

・キャラ・・・10+

・音楽・・・9

・CG、演出・・・9

・総合・・・10+

あらすじ

俺は昔、この町“夢幻”に捨てられていたらしい。それを拾ってくれたのが俺の母代わりであり、家族であり…恋人のような「マナ」だ。

今はこの町に二人で暮らしている。時々はふたりで買い物に出かけ、町の人々と何気なく触れ合って、何気ない会話をして、何気なくマナと生活している…。

いつも俺に優しいマナ。娘(モエミ)をとても愛している晴子さん。逆に母をとても大事にしているモエミ。とてもおしゃべりなさえか。いつも野原に座ってだれも見ることができないものを見る少女雪江。温泉宿の経営者でいつも一緒のユリと彩。

温かいみんなのいるこの町で俺は、幸せだと感じている。もちろんこれからも…。ずっと。マナと二人で……。

・ストーリーについて(シナリオ:MOONZERO)

いや・・・これは凄い作品です。1つの作品、しかもシナリオ書いた人は全部同じらしいにも関わらず、神ゲーからクソゲーまで、まるでシナリオで段階別に分けたかのように同居しています。

序盤から主人公が何やら意味深な「夢」を見るのですが、「んー、たぶん前世とか輪廻転生とかそういう系の設定かな?」ってなります。最近やったのだと、「痕」に近いかも。ともかく、穏やかな日常シーンですが、それが崩れ去りそうな予感とか最初からある分、読んでて面白かったです。

実際、過去だか前世だかの回想編に入ってからは一層面白くなってきて、どんどん読んじゃいました。また、回想編だと視点が「主人公じゃないよね?」ってキャラじゃなんですが・・・っていうか、ミルカ様なんですが、拙いけれどもどこまでも純粋に、まっすぐに届く、これでもかというくらいに愛情あふれる言葉たちが私の心をかき乱していきました。

「疑う事を知らない、限りない純粋性を持った、ちょっと頭の足りない母親:ミルカ」「能力があり、自分にはその能力がある事を知っていて、人並みの野心も優しさも持っている息子:マノ」の物語。この話こそ本作の全てであると言えるでしょう。

ミルカは、読者である私達、そしてマノにとってはであり(または天使、しかしある意味悪魔的とも言える、ともあれ彼女の存在が私の心を大きく揺さぶるのは間違いない)、しかしそのミルカにとってはマノこそがであり全てというこの構図。そこに私は今までに見た事がないほどの罪深い、そして悲しい裏切りを見ました。

ひとえに「裏切り」と言っても、その行為に対する罪深さとかをそこまで追及しないで、物語をより面白くする要素として「裏切り」って割と使われがちな気がするのですが、本作で描かれる「裏切り」はその罪深さをこれでもかというくらい読者に感じさせるものになってます。きっと裏切る側のその罪深さを誰よりも自覚しているからなんでしょうね。

回想編までは文句なしに素晴らしかったんですが、その後の各ヒロインルートは上では話したようにかなり差があって、雪江ルートなんか「は?なにこの茶番?」ってレベルで正直別に攻略しなくていいとさえ思います。

ただ、メインのマナとシエルートは他の誰か一人を攻略しないといけないので、中では晴子ルートもそこそこだったので、晴子ルートやってすぐメインにいくってのも全然ありだと思います。というか、

「何これつまんね。」ってなって神ゲーであるシエルートをやる前に投げるリスクを考えるとむしろ推奨します。晴子とかさえかあたりパパッと攻略してシエルートやりましょう。マナルートは後でも先でもどっちでもいいかと。

シナリオの良さは並べるとこんな感じ

神ゲー  回想編、シエ>>>>>>>>>>>>>マナ>>>>>晴子>さえか>>>彩&ユリ>>>>>>>>雪江  クソゲー

回想編とシエルートのミルカ様の心揺さぶれる度は半端じゃないです。このレベルここ数年なかったですね。もしかしたら今まで触れてきたエロゲ含めて全ての作品の中で一番かもしれません。

エロゲって媒体だとどうしても出てきてしまう事かと思いますが、同じ人が書いてるのに何でこんなにルートによって面白さが違うかと言うと、ヒロインの数に合わせて無理やりボリューム出そうとしてるような感じがするんですよね。まあ、「短い」とか文句言われるからって事でとかある程度仕方ないのかもしれませんが、同じ作品中でこうも面白さに落差があると、ちょっと白けちゃいそうなところもあるんで、そんなんならヒロイン減らすとか最初から1本道とかにしてほしいって思います。本作をやって、特にこれは思いましたね。

・キャラについて

主要キャラ紹介

・藤原マナ

夢幻の街にほど近い丘の上に住む美しい少女。彼女は主人公の勇介を、幼い時から育ててくれた。

母のように、時には恋人のように、家族のように……。

・白鳥雪江

いつも野原にたたずみ、ぼんやりと海を臨みながら、他の誰にも見えない「何か」を見つめている少女。彼女の天気予報はかなり正確で、普段は地質探査などをしているらしい。
たいへんぼ~っとした性格で、ギャグのセンスもかなり独特。

・日比野さえか

勇介の家の近所に住んでいる、お喋りな少女。とにかく騒がしくて、勇介はいつもそれに悩まされている。

好きなものも多く、食べ物、服装、乗り物など、遊ぶ事全般においてかなりの事情通でもある。

・工藤晴子

もえみの母親で、家事の得意な優しい母。もえみには深い愛情を捧げ、「わたしのすべて」と言い切るほど。

勇介の持つ「母親」のイメージ通りの、優しくて強い女性。家事の腕はかなりのもので、逞しい母親の一面を見せる事もしばしば。

・工藤もえみ

夢幻の街に住む女の子。幼さいながらも、お母さん思いの優しい少女。

料理や家事が得意で、とにかく頑張り屋。ちょっとドジが多いのが逆にチャームポイント。

・志水彩

いつもハキハキした、活発な少女。男に負けないくらいパワフルさがあり、自称「ユリのボディガード」。

いつもユリと一緒に居て、「レズなのか?」と疑われることも……。割とさっぱりした性格で、言いたい事をズバズバ言う事も多い。

・ジン ユリ

笑顔を絶やさない韓国人の少女。常に微笑みを浮かべ、来るものすべてを暖く受け入れる。

気持ちが穏やかで、人を傷つけることを知らない。自称「一人上手」だが、いつも彩と一緒にいる。

主要キャラを↑で紹介しておきながらなんですが、マナはまだいとしても、それ以外のみなさん、すいません。基本どうでもいいってというか、あんま覚えてないです。

というのも、この作品って私の中では神ゲーからクソゲーまでそろっている稀有な作品で、もちろん、クソゲーのキャラなんて記憶に残らないんですよ。(稀にそれが突き抜け過ぎてて逆に残る事もあるけど。)

なので、神ゲーである回想編の登場人物、母であり神であり天使でありある意味悪魔でもある、どこまでも淀みなく完全なる純粋性、無垢性を持つミルカ・・・いやミルカ様彼女の神聖さに出会うためにこの作品をやったのかもしれないすら思っちゃいますよ。

ただ、彼女に本当の意味で「理解」は出来ません。彼女のような人間がいるなんで信じられない。人は理解不能できないもの触れた時、恐れて嫌って離れるか、憧れて尊敬して崇拝して近づくかのどちらかだという話を聞いた事がありますが、彼女については絶対的に後者でしょう。まぎれもなく、誰よりも彼女の「想い」の全てがどこまでも本物であると分かる。だからこそこんなにも心揺さぶれるんでしょう。私の本作のプレイ時間を全てミルカ様に捧げます。

そして、そのミルカ様にとっての神である、マノ。本作のもう一人の主人公。彼は非常に凡人が感情移入しやすいキャラです。正の感情、負の感情、表裏どちらも本当に共感しやすく、読者としては本当にそのキャラが自分であるかのように感情移入できるキャラ。

彼の苦悩も、決断も、彼の年齢や環境、性格を考えればよーく分かる。感情移入するのは容易である・・・がしかし、本作のプレイ時間を全てミルカ様に捧げ、プレイ後も彼女の事は忘れられないであろう私は共感した上でなお、彼を殴り飛ばしたくて仕方が無い。。。理由はやればわかる。。。・・・・・・・ああああああああああああああああああぁぁあぁぁっぁぁぁっぁっぁxっぁもうそのシーンのミルカ様を思い浮かべるだけで、ていうかもはや単にミルカ様を思うだけで私の胸はもう張り裂けそうですよ。。。いや久々ですよ、こんな感覚は。私は心の中でfate/zeroのランサーみたいに血の涙流して続けてますよ。

「ディルムッド」の画像検索結果

もちろん、シエも物語上、必須な人物ではあったけど、本質的には、最初から最後までこの二人の物語だったというか、この二人が全てって感じです。私の中では。ちなみにミルカ様は私の7年以上のエロゲ歴の中で「様付け」をした二人目のキャラです。(最初は夜明け前より瑠璃色なのフィアッカ様でした。)

だから何が言いたいかと言うと、それほどに彼女は尊く、神聖な存在だって事です。もし女神がいるとしたら彼女の事ですよ、きっと。彼女をお目にかかるために本作をプレイする価値はあると断言します。彼女は「本物」であり「至高」の存在です。もう彼女の笑顔は世界遺産に登録した方がいいです。

・音楽について(H.T)

BGMは何気に全体に良かったですし、作品とその雰囲気とも非常に合っていました。特に切ないシーンのピアノのBGMはなかなかでした。

OPも良かったです。

・CG、演出について(原画:李秀顯(Milk/MILKCOW))

10年以上前ですが、キャラ絵は普通に可愛いし、背景はなんか手描き感みたいなのがあって美麗って訳でもないですが、世界観や雰囲気に合ってるし、これはこれでかなり良かったです。

 

ゲーム起動からOPや冒頭までの流れが良かったです。「お、これは面白そうだな。」って期待感高まりました。

途中によくある演出なんですけど、主人公のモノローグみたいなのが挟まれるんですが、それ自体は別に珍しくもないんですけど、文字消えるのが速すぎるのがなんとも・・・敢えてそうしてるって狙いがあるのかもしれませんけど、せいぜい10文字くらいならいいんですけど、たまに20文字くらいなのが出て、それが0.何秒もしないうちにパッと消えちゃうので・・・まあ、頑張って読むしかないですが、明らかに重要なとこだろうに、それが読めないくらい早く消えるのはちょっと不親切だと思いました。重要設定でそんな所変えられない感じでしたし。

・まとめ

ミルカ様に幸あれ!ミルカ様の魂に救済あれ!ミルカ様を害するもの悲しませるものに災いあれ!彼女こそ真の女神である!・・・・・・・・・・・

いやー・・・我ながら、いつもけっこうまとまりがない汚い文章がさらに乱れてますが、まあ、ミルカ様にかき乱された心の現れでもあるので、ご容赦ください。。

これほどに心揺さぶれたのは久しぶり。数年ぶりくらいですかね。いやーしかし、たまにこういうのがあるから、ほんとエロゲってやめられないんですよね、素晴らし過ぎる。捉え方によるかもしれませんが、非常に悲しい話です。大団円のハッピーエンドが好きな人はきついかもしれないです。しかし、回想編、シエ編は文句なしの神ゲーであると断言します。未プレイの人はとにかくやってほしいです。他のヒロインとか別にやらなくてもいいので。


OP↑

青い涙 ダウンロード版

しかしこれはミルカ様の信徒としてはパッケージ版も買うしかないかな。。。ちなみに、この作品のエロは心底、不要。ある意味なし。っていうかヒロインが半分以上不要。

ここからは物語について考えさせられたこと書きます。(ネタバレは・・・まあ、ないと思う。)

本作をやって初めて気が付いたのですが、視点が「裏切る側」なのか、「裏切られる側」なのか、また当事者たちの境遇、人間性などによって感じ方が大きく異なるんだって事です。

その点から言って、本作の「裏切り」ほどに罪深いと思わせるものは見た事がありません「そもそもそんなものは存在し得るのだろうか?」と本気で思う程です。

それの代償はとてもつもなく重いものとして描かれてますが(ちなみに、「それって生まれてから死ぬまで死刑囚よりも辛いよね?」ってレベルで、生きている事を前提とすれば、考え得る限りそれ以上の苦しみはそうないんじゃないか?ってぐらい)、それも納得してしまえるぐらいに罪深いと感じました。

どんな人間を、どんな風に、どんな状況で、「裏切る」のか?(特に「どんな人間を」が一番重要だと思う。)それらの条件や、描かれ方によっては、本当に物語を彩るスパイスでしかなかったり、ひどく軽いものにしか思えない「裏切り」。こんなにも罪深く悲しすぎる裏切りは本当に初めてで、裏切った方、裏切られた方、どちらの心情を考えてもどちらの方が悪いとも言いきれず、やりきれなかったです。

「純真さ」。これは本人にその自覚がなくとも、というか自覚がないからこその真の純真であり、だからこそ、純真さを失った者達にとってはある意味他にないぐらいに残酷で罪深いものなのだという事。相手をどこまでも信じて疑わない、後ろめたいことなど何もないような無垢性それは間違いなく比べられるものが無い位に尊いものでありながら、同時に比べられるものがないくらいに残酷で罪深いものにもなり得る。。。そんな事を深く考えさせられました。

とまあ、回想編入ってから話も面白くてグイグイ読みまくって私はそんな事考えたんですが、作品全体のテーマとしては「情」です。曰く、自分を犠牲にしてまでその誰かにために、と思える感情、それが「情」だと。「情」の定義とかは分かんないで置いといて、私としては、例えば、家の中に蜘蛛がいて、水でもかけて殺せば早いものの、ふと可哀想な気がしてめんどくさくても、紙とか掬い上げて窓から逃がすとかそんな軽いイメージだったんですけどね、「情」って言葉は。

まあ、「蜘蛛のために」「めんどくさいと思う自分を犠牲にして」とこじつければそれも情と言えるのかもしれませんが、えらくやっすい自己犠牲だとは思いますけどねw言ってしまえばただの気まぐれと言えますし。ちなみに本作においては「愛」は「情」の正反対であり、同じ相手に向けるものであっても、「自分のためだけに」というのが「愛」だそうです。

「愛」=「性欲」みたいなもんってことですかね。流石にこれはぶっちゃけ過ぎかもしれませんが。まあ、母親が母親として息子に向ける気持ちと、女性が女性として男性に向ける気持ち、どちらも大切な想いであるとしても、それの中身は違って当然ですかからね。

本作においては「情」>「愛」という考え方で、世間一般の逆なのが面白かったです。

なんとなくですが、「恋」と「愛」って「恋」が刹那的、または浅くて、「愛」というと、深くて長いってイメージだったんですが、本作では今言った恋愛の「恋」に当たるのが本作で言う「愛」で、「愛」に当たるのが「情」ってイメージですね。。。だから何って訳でもないですけど、やっぱ言葉って面白いですね。

しかし改めて考えると、「自己犠牲とか献身と言えるレベルまで自分以外の誰かが自分にとって大切である」という事実って羨ましいなと思いました。正直、今の自分にはそんなレベルの他人はいるとは思えませんし「自己犠牲とか献身」っていうのもどういう感情かっていうのを知識としてあるだけで、実感はしたことないですし。

いつかは、そんな風に思える誰かに出合ってみたいとは思います。自己犠牲の精神発揮してる自分とか全く想像もつかないんですけどね。。。


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