ユメミルクスリ ネタバレ 感想


※この記事はネタバレしてますので、未プレイの方は引き返してください。

まー、なんというか日常シーンから倦怠感漂う独特な作品でした。

ではまずは弥津紀ルートから。

最初は容姿端麗、成績優秀。運動神経は・・・忘れたが、まあ、とりあえず 絵に描いたような優等生 で生徒会長の先輩さんなわけですが、関わりを持っていくと

「あれ、この人、実はダメな人なんじゃ。。。」

ってのが分かってくる。

目の前の嫌なことから逃げ出して人に迷惑をかけながら刹那的な快楽ばかり追い求める、これまた絵に描いたようなダメ人間。

一回なんだかんだ振り回されてた主人公が切れるんですが、プレイしてる側もそろっとそのダメ人間っぷりに軽くイラッと来てるとこだったんで、ナイスタイミング。

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まあ、主人公もなんだかんだ、振り回されながらもセックスしまくるし、まんざらでもない感じで楽しんでるんですが、変なドラッグを嗅がされた事が原因で軽く頭おかしくなってセックスしながら先輩の首は絞めるわ、ホテルのベランダから転落するわで冗談抜きで死にかける主人公と先輩。

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その時の先輩の台詞は

「なんだ・・・生きてるんだ。私達・・・」

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おいおい、かなりイッてる人だとは思ってたけど、自殺志願者かよって感じですが、どうやら単純な自殺志願者って訳でもないらしく、話を聞いてみると、先輩はこう言うんです。

「明日が来る事を信じられない。」

「私にとっては寝る事は死ぬ事と同じ。」

なるほど、寝る事と死ぬ事。

おやすみーって言って寝て、それっきり目が覚めなかったらそれはもう死んだと同義ですよね、確かに。
「多くの人は明日が来ると信じているから安心して寝る事が出来る。」

これはまさにその通りですよね。皆、無意識にそれは出来ているはずです。

それを信じれない、先の自分を全く想像できないとしたら、それはもう確かに怖いですね。ここにきて刹那的な快楽に逃げていた先輩に

「あー、そうだったんだな。」

と共感できる。いや、共感は出来ないから同情か。

主人公も主人公で、ずーーーーっと周りに合わせて波風立てずにいわゆる「普通の生徒」として生きてきた自分に嫌悪感があって、先輩に振り回されているうちはずっと走ってきたレールの上から外れて、刺激的な日々を送る事で、何かが見え始め、人間的にも成長し、家族との絆も深まって、殺されかけたとはいえ、先輩はかけがえの無い人になる訳です。

最後の方は主人公と先輩と家族とであれこれもありますが、子供生出来るし、それによって先輩の抱える問題も解消するし、家族とのあれこれも解決するしで、とりあえず大団円のエンドと言ってもいい綺麗なエンドでした。

まあ、印象的だったのは、先輩の抱える闇、

「明日が来る事を信じられない。」

っていう考えはなんか新しくて、考えさせられました。まあ、そんな事は深く考えなくていい、というか考えていけないと思いますが、とにかく、 僕達人間が持つ無意識の楽観性ってのには助けられてるなと思いましたね。

次にねこ子ルート。

先輩も軽くイッてると言えばイッちゃってる人種ではあったかもしれませんが、叱られれば謝ったり、申し訳なく思っている当たり、まだ、良識があったんでしょうが、ねこ子さんの方はもう完全にイっちゃってる人です。

その分、 奇想天外な行動っぷりも磨きがかかってるので、見てる分には非常に面白いる

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「自分は妖精だ。」

と言い張るねこ子さんですが、本当に妖精でしたなんてことはもちろんなくて、普通の人間がドラッグでおかしいテンションになってたってだけなんですが、その正体はなんと、おとなしくて人付き合いが苦手な図書委員さん。

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ビジュアル的には似てもにつかないので、最初の方は全く気が付きませんでしたね。

ねこ子さんの素性は終盤になってようやく判明するんですが、ねこ子さんの(本名:宏子)ドラッグをを服用し始めた経緯を聞くとなんだか、僕自身も似たようなことで苦しんでいた事があったので、他人事でも無い感じでしたね。

悩みというは、簡単に言うと 「自己嫌悪」「自己不信」そういう類です。

「自分とは何だ?」

「自分には何がある?」

僕も中学の頃、それらを自問し、

「俺には何もないんじゃないか・・・?」

と自答してしまう。。。つまりは、

「自分は〇〇が好きで、〇〇な人間だ。」

という〇〇に入る何かが全然わかんなかったんですね。そんで、そんな自分はなんて下らない存在なんだろうと自己嫌悪。

自己嫌悪すると言う事は、つまりそんなつまらない自分から変わりたいと思ってるわけですが、どうやって変わればいいか分からない。どうしても〇〇に入れる何かが見つからない・・・そんで再び自己嫌悪。

こんな最悪なサイクルを割と長い事繰り返してましたが、そんな精神状態の時に、

「これを飲むとそんな嫌な自分にさよなら出来るよ?」

なんて甘い誘惑を受けていたら・・・と考えるとねこ子さんの送った人生はほんと他人事に感じられないですね。

こういう話を見ると

ドラッグにハマってしまう人=ダメな人、弱い人、ろくでなし、人間のクズ

というイメージがあるかもしれませんが、確かにハマりやすい人は弱かったりダメな所がある人が多いでしょうが、実際は、僕もそうですが、ちょっとネガティブっ気のある人なら、ちょっとしたきっかけとかタイミングでその道に入ってしまう事も普通にありえそうだなって思いました。

普段ポジティブな人なら心配いらないかもしれませんが、ネガティブっ気のある人は気をつけましょう。

自称ネガティブっ気のある僕からのネガティブになった、またはなりそうな時対策で、あまり役に立たないかもしれないアドバイスとしては、

・自分を卑下し過ぎない(僕は自分をダメなヤツ、弱いと自覚してますが、流石に人間のクズとは思ってません)

・筋トレ、スポーツ、オナニーなど肉体的な快楽でネガティブを吹っ飛ばす

・ネガティブ、暗い雰囲気の音楽を聴く

上、二つはまあ普通かもしれませんが、3つ目は完全に僕的には。って話なので合わない人は逆効果かもしれませんね。

僕的にはネガティブな時にポジティブな曲を聴くとなんか眩しすぎるというか、ちょっとそのポジティブさについていける心境じゃないんですよね。

そんでネガティブな曲を聴くと、

「あ、ここに仲間がいる。」

って感じでなんか共感というか仲間意識というか

「苦しいのは俺だけじゃないんだ。。。」

的な心境になって、自然と気分が少し良くなっているという。ちなみにレディオヘッドとかおすすめですよ。

超名曲↑自己嫌悪の歌なんですが、最初は「何が良いんだ?」って感じでしたが、いつのまにかこの雰囲気の虜に。ちなみに歌詞も見るとなお良し。

まあ、そんな事聞いてねぇよって感じでなんか話が逸れまくったかもしれませんが、とりあえず、ドラッグは気をつけようねって話でした。

ただ、僕も主人公の気持ちはなんか良くわかる気がするんですよね。ねこ子さんは確かに方法はあれだったかもしれませんが、それでも自分を変えようと頑張ったのは間違いないんですよ。

高校時の僕は先の主人公の心境にかなり似てて(優等生な事以外)

「俺には何がある?」

といった問いに向き合う事を放棄して、この後も適当に生きて適当に死んでいくんだろう、的な諦めの境地入ってて、ある意味最悪な状態で、そんな状態の自分から見ればねこ子さんは確かにドラッグに頼っていたかもしれないけど、よっぽど眩しくて尊いと思うんです。

そんなねこ子さんも最後にはドラッグを乗り越えて、立派に地に足をつけて本当の妖精郷を見つけられたんですから、ほんとに良かったです。

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僕も自分の妖精郷を見つけなければ!

と言う事で最後はあえかルート。

先の二つの話よりもこちらはほんとに「学校」ならどこにでもありそうな話です。

集団において、大多数とずれているものは攻撃される。

つまり、少し周りと違う、変わった人間がいじめられるという話ですが、これは僕自身が被害者としてリアルに体験したこともあるくらいに、本当に「集団」がある場所でなら当たり前のように起きる事でしょう。

必ずしも、

周りと違う=いじめられる

が成り立つわけでもありませんが、尊敬されるにしろ、敬遠されるにしろ、他の人とは大きく異なる接し方をされるという意味では同じで、つまり距離を置かれるという事だと思います。

もちろん、その変わっている人の周り全てがその人を心から嫌っていじめているなんて事は稀でしょう。

中には、「おかしくね?」「良くないよな。。。」って思ってる人もいるでしょう。しかし、思っている人は結構いるとしても、実際にそれを口に出して行動する人は残念ながらグンと減るでしょう。

何故なら、

「集団全体の流れに逆らう」

というのは今度は自分が「周りと違う」存在、つまり集団にとっての異物となり、攻撃される可能性が極めて高く、それを頭のどこかで理解しているからでしょう。

この話ではあえかがいじめられる事になった要因は、あえか自身が変わった子だったというのともう一つ大きな要因があります。

それは、

「その集団の中で影響力がある人間に睨まれてしまった」

という点です。実際によくあるいじめというのは、後者の要因がほとんどなのではないかと思う位にこれは大きな点です。

この話ではその影響力のある人物・アントワネット(南条)の勝手な妬みという実に下らない理由からですが、いじめに繋がる要因なんてのは、大概がこんなようなクソ下らない理由だったりするんじゃないでしょうか?

僕もあえかの同様、いじめられていた当時は自殺を考えた事は数回ありますが、そんなクソ下らない事で自分の人生とか命を振りまわされていたと考えるとなんかもう、書いてて情けなかった自分自身といじめてた奴にムカついてきますね。

でも、ほんといじめられてる時はもう立ち向かおうなんて気概は湧いてこないんですよね。というかそんな事が出来るならいじめれてないでしょうしね。

「いじめられる方にも原因はある」

まあ、それも一理あるでしょう。しかし、どっちが悪いか、どっちが人として終わってるかって言えば、確実にいじめる方でしょう。

僕もいじめる側の立場になった事もありますが、いじめるなんていうのは所詮、誰かをいじめることで

「俺はこいつよりも不幸じゃない。」

「俺はいじめられる側じゃないんだ。」

そんな風にしか自分の居場所を獲得できないへタレな臆病者のする事だったなと今では思いますね。

後、とりあえず、いじめる奴といじめられてる人、傍観者のあなたに言いたい事が一つずつ。

まずいじめてる奴。

君は誰かをいじめる事でしか安心を得られない、どうしようもないクズでへタレな人間だという事を胆に銘じておきましょう。それだけです。それを踏まえた上で、後は好きにしてください。

次にいじめられてる人。

君は色々悩んだ末、立ち向かえる勇気が出せそうなら立ち向かおう。それが無理なら不登校なり転校なり退学なりして逃げてしまえ。

学校なんて数年通わなくても、実際たいして問題ないと思う。どこかで人と接したいなら何かのサークルにでも入ろう。

最後に傍観者の方。

傍観者は加害者も同じだ。って割というけど、僕的にはそこまでは思わない。

傍観者にとって一番重要な所は傍観するんじゃなくて、行動できるかどうかだけれども、行動出来てたら、傍観者じゃないですからね。(まあ、でも一番の目標は脱傍観者だけどね)

大切なのは

「いじめの様子を見て心を痛めているか」

どうかだと思う。

「可哀そうだな。」

「あー、何もしてあげられない俺はダメな奴だな。」

こんな事は思うだけでは意味が無い、何てことは無いと思う。そう思えるあなたは「良心を持った人間」であり、そんな風に思えるあなたならいつかきっと行動も出来るようになるだろう。

と思うので、大いに自分を責めるのも良い事なのかもしれないのかなと。

それはこのあえかルートの主人公を見ていてもそう思う。主人公も始めはあえかがいじめられているのを知っていながら、何もしなかった傍観者だが、少なくとも彼はそんな情けない自分自身を心底嫌っている。

だからこそ、彼は時間はかかったが、最終的には行動を起こせたんだと思います。

この物語を読んでいる側だったり、関係ない人間からすれば、

「遅えよ。」とか「なんだこのへタレ」とか思うかもしれないが、それはまさに今学生でクラスという集団に属している側からすればそれはほんとにとてつもない勇気がなければ

「周囲の流れに逆らう。」
なんてのは出来ない事だと思います。なんせ大多数の学生にとっての世界は学校、またはクラスとも言えると思いますしね。

最後は主人公とあえかは学校を辞めるって事を思いつくんですが、何も考えずに学校行ってると

「学校に行かない。」

っていう選択肢なんて普通思いつかないんですよね。

世界に反逆するなんてには並みの覚悟じゃできないですよ。

まあ、でもやはりそこは愛の為に立ち上がるのが筋ってもんですよ。

後半から主人公もまとめていじめられるようになるんだが、最終的にはやっぱり平気で人をいじめるようなクズには鉄槌をって事で黒幕と言えるアントワネットは主人公とあえかで協力して

「よしっ!一緒にこいつ絞殺しちゃおう♪」

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まー酷い顔ですわ。エロゲに出てくる女の子とは思えない表情↑
って事で絞殺しにかかると段々白目剝き始めて放尿&脱糞し、

二人に

「うっわ、クッセー。」

と言われ、こいつのクズっぷにイライラきてた読者も納得の醜態をさらしてくれました。(というか、俺の今までのエロゲ歴でこれほど酷い醜態晒した女キャラいなかったような)

そんでこんなクズばっかの学校なんて辞めちゃおうという事で辞める二人。

うんうん、それでいいんだよ。僕的にはね、学校なんて行きたくなかったらいかなくても全然OKだと思うんですよ。

大人の方もからも学校行かないっていう選択肢も与えてやるべきだと思うんだけどなぁ。

まあ、それにしてもあえかはほんとに怖いくらいにピュアな子ですね。

自分の嫌な面にも正面から向かい合って悩むとか、自分以外の誰かの為に、心から怒ったり泣いたりとか、出来る人中々いないですよ。

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自分がやられても何も反撃しなかった彼女が、主人公に害を与えたなるや感情を爆発させる↑

主人公も実感してましたが、そんな子に想われるなんてどれほど光栄なんでしょうね。

周りで見てる傍観してたりふざけて野次馬飛ばしたりしてる奴らに対して主人公が

「お前らにこんな風に自分の事にここまで真剣になってくれる人はいるのか?」

と内心問いかけるんですが、ほんとそうですよ。友達100人なんかいらないからそんな人が一人でもいたらそれはどんなに幸せなんだろうと思いますよ。

まあ、想われたら想われたで

「この子と比べて俺のちっせぇのなんの・・・」

ってなりそうですよ。主人公もなってましたが。ただ、そういう子に限ってやっぱり献身が過ぎるのが自分自身の事は軽視しがちなんですよね。

まあ、リアルでは俺はまだ20数年の人生でまだ一人しかそんな人間は見た事ないですがね。

なんかほんとにその美しいというか、純粋過ぎる姿ってのは心打たれるものがありますよ、ほんとに。

まあとにかく、割と短かかったが、考えさせられる事も多く面白い作品でした。やっぱエロゲは素晴らしい。


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